「え……?」


唯が、海司を?


「唯、それ…。本気で言ってる?

あの海司だよ。

潔癖だし、完璧主義だし、毒舌だし」


「うん。確かに前はね、苦手だなって思ってんだけど、退院してから立花君…、優しくなったでしょう?

なんかいいなあって思ってたんだ」


「いや、それは…」


中身が私だったから、仲良く出来てただけだよ。


それを好きと勘違いしちゃってるんだよ!


「でも、完全に好きだなあって思ったのは、初詣で会った時かな」


「え……?」


「なんて言うんだろう。男の色気っていうのかな?あのクールなまなざしにやられたっていうか。

もう…ただ目が合っただけで、鳥肌が立っちゃう」


クールなまなざし…?


ふと。


この前、海司が私にメイクをしてくれた時のことを思い出していた。


海司は、ずっと真剣な瞳で私の顔を見ていて。


その綺麗な瞳に、ドキドキしたんだ。


そうか、唯も…。


中身が私じゃない、本当の海司を間近で見たんだ……。


「それにね、立花君ってさりげなく優しいんだよ。

あの日、人が多かったでしょう?

それでも歩きやすかったのは、いつも立花君が私を守るように人が多い方に立ってくれたからだと思うの」