「今日は洗濯もねーし、部室の掃除でもするか。

年末にやるの忘れてたしな」


海司に言われて、ふたりでサッカー部の部室に入る。


相変わらず、ホコリっぽい。


「アイツらの荷物がない方が掃除しやすいんだけど。まぁいいだろう」


私はとりあえず、散らかっている衣類をたたみ始めた。


海司は、部員の靴を端に寄せているようだ。


「ねぇ、海司」


「あぁ?」


「唯と初詣、どうだった?」


唯と海司がふたりきりでいるのを見るのは、やっぱりかなりの驚きだった。


「どうって別に。お参りしておみくじ引いて、いか焼き食って帰ったけど?

お前こそ、どうだったんだよ。恵介とのデートは」


「うーん……。私も、似たようなモノかな」


「でも恵介、優しかったろ?俺とは違って」


「そ、そりゃそうだよ。佐野君は海司みたいに口は悪くないし。ひどいことを言わないもの」


「じゃあ、楽しかったか?」


「え……?」


どうして。


なんで。


そんな優しい顔で笑うの?


なんか、元に戻ってからの海司。


変わった気がする……。


「楽しかったよ。すごく……」


「そうか。良かったな」


あの佐野君だよ。


さわやかで、優しくて。


ずっと憧れていた。


楽しくないわけ、ないじゃない……。