振り返ってみると。


「唯!」


「花音ー。偶然だねー!」


なんと、親友の唯が立っていた。


『っていうか花音!どーしたのよ!佐野君と一緒だなんて!』


駆け寄って来た唯が、私の耳元で小声で言った。


『うん。マネージャーだからかな。誘ってもらっちゃって』


『やるじゃなーい。二人きりなんでしょ?もう立派なデートじゃーん』


唯に言われて、思わず口元が緩んでしまう。


佐野君とこんなふうに二人きりで初詣に行く日が来るなんて。


唯も私も、ほんの数ヶ月前まで思いもしなかったから。


「っていうか唯、誰かと一緒なの?」


よくよく見てみると、唯は両手にいか焼きを1本ずつ持っていた。


「あー、うん。実は私も連れが…」


「えっ、誰と来てるの?同じクラスの子達?」


「いや、あのー。それが…」


なぜか言いにくそうにしている唯。


不思議に思っていると。


「佐久間」


まさかの声に、耳を疑った。