「お母さん、どういうことなの?突然別れるだなんて」


おばさんが座った途端、美空さんが投げかけた。


気持ちはわかる。


美空さん、ショックでずっと泣いていたから。


おばさんは、ずっとうつむいたままだ。


「別れたい理由は何なの?」


美空さんが苦しそうにおばさんに問いかけると、おばさんがはぁとため息をついた。


「母さんね、疲れたの。

なんだかもう、何もかもイヤになって」


「何がイヤなの?ワケがわからないよ。
お母さん、お願いだから帰って来て」


美空さんの言葉に、おばさんは目を閉じる。


「美空、ごめんね。

もう無理だわ。

ここに帰って来て、おばあちゃんと話したり、畑仕事をしていたら、すっかり癒されて。

ずっとここにいたいなって思って。

だからもう、マンションに戻るつもりはないわ」


おばさんの言葉の後、隣からおじさんのため息をつく音が聞こえた。


「なあ、母さん。

ここに居たいって言うなら、いつまででもいていい。

元気になるまで、ずっといてもいいから。

だけど別れるなんて……。

それは考え直して欲しい」


おじさんの言葉に、おばさんは首を横に振った。


「もう戻るつもりはないです。

あのマンションにいると、息が詰まりそうなの。

いつまでもみんなを待たせるわけにもいかないし、別れた方がお互いのためだわ」


そ、んな……。