新幹線を降りると、今度はタクシーに乗って海司のおばあちゃんの家へと向かう。


町の景色が次第に、田んぼや畑へと姿を変える。


すごくのどかな場所だなあ。


しばらくすると、タクシーはある家の前で停まった。


お金を払って、タクシーを降りるおじさん。


美空さんの後に続いて、私もタクシーを降りた。


「わぁ…、すごい」


海司のおばあちゃんの家はとても大きくて、庭も広い。


裏には畑もあって、どうやらそこで作物を作ったりしているようだ。


「お母さん!」


突然、叫ぶ美空さん。


その視線の先には、大きなツバのついた帽子を被り、黒い長靴を履いたおばさんの姿があった。


その手には沢山の野菜が抱えられていた。


「お母さん、お父さんと別れるなんてウソでしょう?ウソだよね?

私、そんなのイヤだから」


美空さんがおばさんの腕にしがみつく。


苦笑いをするおばさん。


すると、玄関から優しい雰囲気の女性が出て来た。


「明弘さん、美空、海司。

よく来たね。

中に入りなさいな」


この人が、海司のおばあちゃんなんだ。


声の印象通りの、すごく優しそうな人だ。


おばあちゃんの家に上がると、仏壇のある和室に通された。


立派な机が置いてあり、私達はそれぞれ座布団の上に座った。


しばらくすると、おばあちゃんがお茶と茶菓子を持って来てくれて。


そして、帽子を脱いだおばさんが、私の斜め前に腰を下ろした。