✴︎ユウヒside
晴れた月曜日。
しおりを開いて荷物を確認した。
「よし!行ってくる!」
リュックをしょって、家を出た。
空は太陽の暖かい光で包まれていた。
今日は遠足!高校で唯一の遠足だ!
2年生のはじめにみんなで仲を深めよう!といった内容だ。
学校に着くとみんなウキウキしている。
バスに乗って向かうのは隣町にある水族館。
「ね。となりね。」
バスの席を隣に座ろうと誘ってきたのはワタシの仲良しの、仲間 藍。
アイとワタシは中学校からの仲良し。
アイは長い黒髪を揺らして、とても可愛い子。
ただ、かなり喋らない。笑
今日もアイと一緒にいる予定だ。
バスの中でもアイは全く会話しない。
隣にいるだけでいいって感じ。
水族館につくとみんな一斉にバスを出る。
「アイ、ワタシたちも行くよ!」
アイは窓の外に顔を向けて動かない。
「アイ!」
ワタシが思いっきり身体を揺らすとアイは、がくん、とワタシにもたれかかった。
なんだ。寝てる…。
無理矢理身体を揺らしておこす。
「…んー。」
彼女は目をこすりながらおきる。
周りを見渡すともうすでにバスには誰もいなかった。
「アイ!行くよ!」
眠そうな彼女を無理矢理引っ張ってバスの外につれていく。
入場券を買って水族館の中に入った。
「わあ!綺麗…!」
青い世界に魚がふわふわと泳いでいる。
「ほんと…」
アイの目に青い景色が映る。
青い景色にこの前のことが映った。
ラスくんのこと…。
月から来た彼…。
私が失くした記憶…。
…。
「あの!魚にエサやり体験するんですけど!よかったら君たちやってみない?」
「…えっ、」
いきなり女の人が私達に話しかけてきた。
見るからに飼育員さんだ。
「えっ!いいんですか?」
アイの方をみると、アイは
「ユウヒの好きにして。」
って言うからワタシは参加することにする。
「じゃ、ついてきて!ワタシは武藤 有紗って言うの。よろしくね!」
「はい!」
ワタシとアイはアリサさんの後ろを付いていく。