「…カノ。」
僕がカノをなだめるとカノはハッと我に返ったようだった。
「…お前、名前は。」
「…アリサです。」
飼育員…アリサさんはナイフをまだ自分に向けてながらも答えた。
さっきのカノの叫びが少し効いたらしい。
「…死んだら容赦しねえぞ。アリサさん。」
カノはそう言った。
カノの目は怒りと、そして自分の気持ちに支配されたような感じだ。
「…何を言うんですか。私を捕らえてもっと厳しい罰則や拷問をするんですか?そうですよね?そっちの方がたのしいですもんね?」
アリサさんはそうやって言う。
「…だったら死んだ方がマシです。」
アリサさん。
彼女をみると目に涙が溜まっていた。
…やっぱり。
やっぱりアリサさんは。
怯えている。
…死ぬことから。
怒りがこみ上げて来た。
信じろよ。
僕らを。
アリサさんは僕らを信じられないみたいだな。
「…僕らはなぁ!!!自分の国の政治が大嫌いなんだよ!!特に、王族に逆らった人を罰するような政治に関してはな!!」
…叫んでしまった。
「…何を…!」
アリサさんは驚いた様子で言う。
「…俺らは他の王族や貴族とは違う。」
次に口を開いたのはカノだった。
「何度も言っているだろ。僕らを信じてください。」
僕は冷静になってアリサさんに言う。
「…なんで。」
「僕らを信じてください!!!僕らは変えたい…。自分の国を!!!あんな無茶苦茶な政治を終わらせたいんだよ!!!!!」
「…。」
アリサさんは黙ってしまった。
「…信じろ!!!!!!」
カノが叫んだ。
それと同時に、アリサさんの手からナイフが滑り落ちた。
アリサさんは座り込み、



涙を流した。



「…信じます…。」