「太陽の世界って…。」
ユウヒは小さく呟いた。
「アイツは、太陽からの留学生。太陽の世界の王の5番目の息子だ。」
僕が言うと彼女は、はぁ…。と、あまり納得のいっていないような顔で頷いた。
「…私は死ねばいいの。」
震えながら言うのは飼育員の女。
「…私なんか、死ねばいい!!分かっているんです!!王族の方に刃物を向けるなんて、許されることではありませんので…!!」
言葉をひとつひとつ噛みしめるように彼女は言った。
本だらけの部屋に埃が舞う。
「……。」
カノは下をを向いた。黙っている。
「私なんか…!」
彼女はそう言ってナイフをさらに首に近づけた。
「………黙れ!!!!!」
カノが叫んだ。
静まり返る空間。
飼育員の彼女もビクッとした。
「…命を…命をなんだと思っている!!!!俺は大嫌いだ!!死ねばいいだと?!!ふざけるな!!!俺は嫌いだ!!大嫌いだ!!大嫌いだ!!」
そういいながらカノは女に近づいていった。
カノ…!
「俺は大嫌いなんだ!!!王族の方に刃物を向けたら死ぬのか?!!!お前は!!……そうだろうな。昔の代から決まっているもんな。王族に楯突いたら死罪だとな!!俺はその政治が大嫌いなんだよ!!!」
カノ、もはや暴走しているな…。