美玲。美玲。俺今すごく考えたよ。
入学式に椅子を頼んだアイツ。アイツ旬だったんだ。
旬は一瞬美玲のことを見つめていた。
小学校一緒だったって聞いた。何か思い出でもあったのかもしれない。
俺の入る隙間のない、綺麗な思い出が。
でも、いつまでもこうしてはいられない。
確かに俺は誓った。
保健室で、絶対に美玲を俺のものにすると。
でも気づいた。美玲が旬とくっついてから、ようやく気づいた。
美玲は「もの」ではないと。
早く返してやらねぇと。旬の元に。そっちのほうがうれしいんだろ?
俺は美玲の泣き顔なんて見たくねぇよ。
笑えよ。だから・・・俺は旬の元に返してやる。
「美玲?」
「・・・ん?」
優・・・。私わからないよ。抱きしめられてると落ち着く――。
「今までありがとう。もう・・いいよ」
俺は、すっと美玲を話した。
美玲の表情がゆがんだ。
・・・なんで笑わねぇんだよ。
俺じゃ、美玲を笑わせることもできねぇのか?
そういやちょっかいを出した時いつも美玲は怒っていた。