校舎に入ると、玄関には
私達と同じ新入生があふれていた。



春学は、一年生だけで8組まであるから
玄関はとても広い。




いつの間にか、
舞ともはぐれちゃったし…。




「えーっと、2組の下駄箱は…」



「君も2組?」




誰かに声をかけられたけど、
人が多すぎて顔が見えない。




「えっ?あ、うん…。
ちょっと!待っ!!!」




答えてすぐ、見えない誰かに
手をぐいぐい引っ張られていく。




やっと人混みから抜けて、
[2組]と書かれた下駄箱の前で
手を引っ張る力が弱まった。




「あっ、ごめん。

同じクラスだったから、つい…

痛くなかった?」




私を引っ張っていた人…



漫画に出てきそうなくらい
キラキラした男の人が
心配そうに私の顔を見る。




「えっ!あ、大丈夫…です。」



「そっか!よかったー。
あ、俺、坂下光(サカシタコウ)。
君と同じ2組だよ!よろしくね。」



「あっ、私、桜木花梨です…。」




緊張して、
ちょっと声が小さくなる。