それである日、聞いてみた。


 大学で一緒になればいいと思っていた。


 人生が左右される所だから、さすがに違ったら諦めるしかないとはわかっていたけれど。


「美咲ちゃんって、大学目指してんの?」

「あー、うん、わたしね、将来保育士さんになりたくて、正直危ういんだけどね、駅前の。」

「え、あそこ?俺も、先生になりたくて、ギリギリだけど、目指してて……。」


 すると、美咲ちゃんはすごく嬉しそうに笑った。


「えっ、ほんと?うわぁ、純平(じゅんぺい)くんと、一緒だと、わたしもうれしいなあ……。」


 嘘だとか、お世辞だとか、頭ではわかっているつもりだったけれど、俺の心は、それだけで浮かれポンチだった。


 大学で彼氏ができちゃうかも、とか色々不安だったけれど、俺はとりあえず今はこの状態を保つことにして、受験勉強に専念した。


 その時聖也も、俺と同じ、先生を目指していて、一緒の大学を受けることになった。


 ライバルは、同じ大学の先輩なんかではなく、聖也になることなんて、当時は考えてもいなかった。