「お前は通用する。」
少しだけ手に力が入った気がした。マッサージされる手が少しだけ痛い。
「徹…?」
「未来、知ってると思うけど…」
ぱっ、と顔をあげた。綺麗な顔をしているといつみても思う。切れ長の二重はキラキラとしていて、鼻筋はすっと通りお母さん譲り。口元はお父さん。綺麗な顔だ。
ゆっくりと、唇が開く。少しだけ震えていた。
「女は男と甲子園に行けない。」
ずっしりとした重い言葉は、生きてきた15年間で密かに理解してきたもの。
女は甲子園に行けない。
徹と野球はできない。
徹に球を受けてもらえない。