陽に灼けた肌に、すらりとした体躯が印象的だ。
柚月も羨む小顔と絶妙なバランスで魅力を倍増させている。
「か、春日くん!?」
長谷川の驚く声に、話しかけた張本人が目を丸くする。
そりゃそうだろうな。
真のアイドルとは得てして、自分がアイドルだと認識していない節がある。
彼の名前は春日 尚輝(かすが なおき)。
成績優秀、スポーツ万能。
絵に書いた優等生だが、それを鼻にかけることはなく、頼まれたことは何でもソツなくこなす。
男女ともに分け隔てなく接するから人望も厚い。
そんなデキる男が何の因果か、柚月の幼馴染みである。
まだあどけない雰囲気を残すが、口角をあげた途端、強気で凛々しい笑顔が零れた。
「ちょっと彼女に用があるんだ。いいかな?」
「は、はい!」
実直な彼女にしては珍しく、あっさりと引き下がった。
心なしか顔が赤かったようだが、気のせいだろうか。
「……お礼は言わないわよ。何よ、大負けって」
「悪かったよ。でも、他に言いようがないだろ? そんな眉間に皺よせてる理由なんて」