ただし、そんな自分を認めてくれる友人は、ありがたいことに複数いる。
柚月の行動で彼らに迷惑がかかることだけは、避けねばならない。
けれど、彼女はそっぽを向く。
「いやよ。平気で女の子を使って人を呼び出すヤツなんか」
頭の中の理性は、穏便にすませろと告げてくる。
いつもなら適当に相手して、反省したフリでもするのだが。
何故か、長谷川の言葉が癇に障る。
「どうしても会いたいなら、そっちから出向けって言っといて」
「な、なんですか。その、いつにも増して反抗的な態度は……」
怯えながらも長谷川は毅然とした態度を崩さない。
ほんの少しでも弱みを見せたら、相手が増長する。
それを心得ているのだろう。
殊勝なことだと感心する一方、鼻白む自分がいる。
その理由は、柚月が一番わかっていた。
(最終的に部外者として締め出すなら、現地の人間たちで解決しなさいよ)
彼女が苛立っているのは、間違いなく東雲の言葉だ。
そっちが勝手に呼び出して戦わせるくせに、肝心なことは教えない。
利用される人間の意志など、完全無視だ。