夕闇に沈んだ空。
 街灯の頼りない明かりだけが周辺を照らしていた。





 ゴッ!

「うッ!」

「ぐはッ!」

 骨に異常をきたしそうな嫌な音と、男たちの悲痛なうめき声だけが響く。

 だが、それを耳にして助けを呼ぶ者はいない。
 ひっきりなしに走る電車の音に、全てかき消されるからだ。



「ほらほらッ、少年に謝んなさい! 今までカツアゲした人たちにもね!」

「ご、ごめんなさ……ッ」

 ガッ!
 眦をつり上げた柚月が、地面に正座する不良の顔面を殴りつける。




「声が小さい!」

「ごめんなさいッ!」

 ドカッ!
 土下座した不良を蹴り倒した。

「ヤケになってんじゃないわよッ! もっと誠意ある態度で!」

「カツアゲして、ごめんなさいッ!」

「グレててすんません!」

 ゴッ!
 泣き叫ぶ不良のこめかみを殴り倒した。

「甘ったれるのも大概しなさいよッ! これしきの謝罪で許されると思ってんのッ!?」

「はいッ! 生きてて、すいません!」

「呼吸してて、ごめんなさいッ!」

「誰が卑屈になれって言ったの!? もう一回ッ!」

「ごめんなさいッ!」