要するに、仕返しをするために自分や栞たちの身元を調査するはず。
ただのバカの集まりならそこで頓挫するが、高校を頼りに探し当てる可能性も十分にありえるということだ。
甘さを引き立てるイチゴの酸味も、柚月の気持ちを慰めてくれなかった。
これから本格的に東雲の呼び出しもあるだろう。
今現在、ヤツとの距離は微妙な間隔である。
考えなければならないことが山ほどあって、いろいろな意味で気が重い。
「で? 名前を呼び合うなんてヘマしなかっただろうね」
頼んだコーヒー片手に春日が、訊いてきた。
その表情は少し意地が悪い。
柚月の今の状況を、少し面白がっているようだった。
どう思われても仕方ないといった心地で答える。
「私は気をつけてたけど、栞がね。聞き取れなかったことを祈るしかないわ。あと、昨日は私服だったし……」
「昨日は?」
柚月の言葉が意外だったらしく、ぴくりと片方の眉が動いた。
最近の記憶をさらいつつ、不良たちに身元を特定されそうなものはなかったか、考える。