駅前の大通りにある喫茶店にて。

「柚、それはやりすぎだよ」

 向かいに座る春日が眉をひそめる。
 側の窓ガラスから、同じ制服の生徒が何人も通りすぎた。

 下校時刻だから当然か。
 ぼんやり景色を眺めながら、柚月はスプーンをくわえた。

「うん……私も反省してる」

 口の中で冷たいバニラアイスクリームがさらさらと溶けていくが、心が晴れることはなかった。

 目の前には、金魚鉢に盛られたフルーツやアイスクリームに、生クリームとチョコレートソースなどが山ほどかけられた魅惑のスイーツがある。


 こんな至福の瞬間を、自らの手で台無しにしてしまうとは。

 悪いことは重なるものらしい。

 柚月は、むっと唇を尖らせる。
 ナンパされた親友を助けるため、暴走族六人と対峙したのは昨日。

 以前、幼馴染みに誘われた喫茶店にて、世間話のつもりが反省会になってしまった。

 とはいえ、こんな内容を他の人間には喋れない。