「嘘つきは泥棒のはじまりよ。知ってた?」
「ということは、目撃情報は本当だと認めるんですね!?」
「うっ……」
詰め寄ってきた長谷川の瞳(というか眼鏡)が輝いた。
まるで、鬼の首でも取ったかのような口ぶりである。
それからの行動は早かった。
柚月の腕を掴み、廊下をずんずんと歩き出す。
「あなたは誇りと秩序を重んじる、ごく普通の朝吹高の生徒です。暴力沙汰はいけません。生徒指導室へ行って委員長のお言葉とご指導をいただきましょう。そうすれば、きっとあなたにも一般の生徒らしい行動が身につくはずです。さぁ、行きましょう。今、行きましょう。そうしましょう!」
「ちょ……ちょっと待ってよ!」
委員長って、誰だよ。何者だよ。
そのノリじゃ、怪しい新興宗教の教祖様だよ。
「いやだってば。離し────……」
ぐいぐいと腕を引っ張る風紀委員に抗議しようとすれば、