「わかってる?
 あんたたちのやってることは無意味な反抗ですらない。ただの迷惑行為よ」

 柚月がハッキリと言い切った直後、仲間たちは顔を見合わせる。

 およそのメンバーは理解できなかったが、大神だけは最大の侮辱と受け取った。


「……少し痛い目見なきゃ、わからないみたいだな」

 表情から笑みが消えた。

 柚月の言葉は理解できなくとも、リーダーの心情は察するらしい。
 後ろに控えていた仲間たちも、許しを得られて締まりのない顔で近寄ってくる。

 全面対決は、避けられないようだ。


 柚月は、わずかに体勢を低くする。



「できるものなら、やってみせて」

 ブラウンの瞳には、すでに強気な光が宿っている。

「ただ、私、すごく諦めの悪い……負けず嫌いなの。大怪我しても知らないわよ」

 これから死ぬほど抵抗するという意味を込めたのだが、やはり相手には通じていなかった。


「いいセリフだね。でも、すぐに撤回させてあげるよ」

 微動だにしない大神が手を振った。開戦の合図らしい。
 リーダーのひと声に仲間たちが、ゆっくりと前へ歩き出す。