「ところで、キミ強いね。こいつら一応、親衛隊なんだけど」
「親衛隊~?」
柚月は暴走族の仕組みなど知らない。
だが、話の流れからして彼らの地位が一般の女子高生にやられていい役職でないことは理解できた。
たっぷり皮肉を込めて、せせら笑ってやる。
「そいつらが親衛隊だか特攻隊だか知らないけど、三人もいて女子高生ひとりに負けたなんてチームの恥じゃない?
外聞が悪くなる前に、いっそ自分たちから解散したら?
大体、あんたも頭なら、仲間にカツアゲなんか許すんじゃないわよ。リーダーであるあんたがいかにしょぼいか証明してるだけなんだから」
「ゆ、柚……」
ズバズバと毒舌をかます親友に、栞は焦りの表情を浮かべる。
柚月の言葉は明らかに、火に油を注いでいる。
事態の悪化を心配されても無理はない。
「てめぇッ!」
「黙れや、ブスッ!」
「大神さんを誰だと思ってんだッ!」
予想通り、取り巻きの仲間たちが吠え出した。
狼のチームとか言っといて。
所詮、弱い犬の集まりだったらしい。