買い物の目的は、栞のお供だった。
 近日、誕生日を迎える大学生の彼氏へのプレゼント候補を探しに来たらしい。



 朝吹市にある、駅前のショッピングモール。
 品揃えが豊富で、若者に人気の遊び場や店舗も多い。

 あちこち歩き回って、流行に敏感な莉子の意見を参考に、商品を物色する。

 柚月は、ふたりを背後について見ていただけだ。

 夕暮れも近くなった頃、万年筆あたりが妥当だろうという結論が出た。





(こんなの久しぶりかも)



 休憩所のベンチに腰かけながら、柚月は大きくのびをした。


 栞たちが帰り際、御手洗いに寄りたいと言うので、荷物番をかって出たのである。

 二日間も歩いて疲労はあるが、柚月の気分はすっきりとしていた。



 最近、異世界だの盗賊退治だの非日常的な出来事が多すぎた。
 久々に、普通の女の子に戻れた気がする。


(…………でも)


 そう考える度に、胸にたゆたう不安がある。


 栞や莉子は、本当に可愛いい。
 外見の話ではなく、今の日常を精一杯生きている。

 何というか、幸せそうだ。