それだけ言うと、踵を返して歩き去る。
一体、何だったのか柚月が眉をひそめれば。
「誤解しないでください。今回は、副委員長の寛大なご処置で無罪放免になっただけです。もう二度と騒ぎを起こしてはいけませんよ」
「はいはい」
前へ出てきた長谷川がたしなめてくる。
柚月は適当に手を振って返事しておいた。
(どいつもこいつも……どうして私を巻き込むのかしらね?)
答えてくれる人はいないと知りつつも、胸に残り続ける疑問。
しかし、この時、自らの発言が周囲の生徒たちに多大な影響を及ぼしていたことに、柚月は気付いていなかった。