小さな頃は、正義のヒーローに憧れた。 世のため、他人のため。 絶対的な悪と戦うヒーローがカッコいいと思っていた。 正直に白状すれば、いずれ自分もそうなりたいと思ったこともある。 そんな純真無垢な過去が頭をかすめる度、柚月は顔を覆って転げ回りたくなる。 もしも、時間を巻き戻せるのなら。 その記憶を削除したい。