梨華は膝を抱えてうずくまる。
すかさず監督が立ち上がり、ベンチにいた仲間が冷却スプレーを持ってくる。
監督がタイムをとっている。
梨華の所に行った私は、相手チームの6番を殴り飛ばそうとした。
すかさず監督が止める。
「監督!こいつが!」
監督の顔を見て何も言えない。
監督もすごく怒っている。
我慢しろとでも言いたげな顔。
みんなでベンチに戻る。
監督が静かな声で行った。
『日奈。その怒りをそのままプレーに乗せろ。しかし、相手を傷つけたら俺らの負けだ。いいな?』
監督の目は真剣。
私も頷いた。
タイムアウトが切れて、またコートに入る。
笑っている相手チームを睨みつけて私はボールを操った。