「え?なにか言った?」
『何でもねぇよ』
大原にヘルメットを被らせる。
抱っこしてバイクの後ろに乗せようとしたら
「馬鹿!自分で乗れるっつーの!」
意地を張るのでほっといてみたら
数分足掻いて
「さっきは馬鹿とか言ってすいません。乗せてもらえると嬉しいです。」
口を尖らせてそっぽを向いて言う。
お前の辛さを分かってやれるのは俺だけ。
お前を前から知っているのは俺だけ。
お前の表情だけで気持ちが分かるのは俺だけ。
お前を一番大事にしてやれるのは俺だけ。
『お前が辛い時、俺はいつでもお前のもとに駆けつける…。それだけは覚えとけ。』
「何?そのセリフ……。
全然似合ってないよ…。」
困ったように笑う大原はちょっと切なくてちょっと泣いていた。