私の足は完璧に折れていて、完治するのに1年半ほどかかった。
何回も手術が繰りかえされた。
その年の全国大会。私の中学校は全国優勝を逃した。
私はそれを聞かされても悲しくも嬉しくもなかった。
私が入院して以来、毎日、西谷先輩は部活帰りに来てくれて面白い話をたくさんしてくれた。
休日は2時間くらい居てくれて、
いろいろ話したり、
病院の中で車いすを押してくれて散歩に出たことも何回もあった。
『大原。俺、来月卒業なんだけど。』
そっか…アレから1年近く立ったんだ…。
『俺、隣町の高校に行く。』
私の目を真っ直ぐに捉えた先輩。
これからは簡単に会えなくなるってことだよね。
『また、いじめられたら俺に言え。今度こそお前を傷つけさせない。』
私の頬に触れた指はかすかに震えていた。
「先輩。頑張って下さい。私も頑張ります。高校は同じ中学校の人が少ない高校に行きます。」
ずっと考えてきたことを口にした。
先輩は少し頷くと私の頭をなでた。
『大原は強くなったな。いや、前から強かったな。』
私の頭に浮かぶハテナ。
先輩はそれを見て微かに笑った。