「あの日フランク様は、ルドルフの箱の中に入れられてしまうのではないかと私に相談してきましたね。」


「うん。僕、怖かったんだ…」



「フランク様まであの箱の中に入っていたら、きっと今頃出られていなかったでしょう。私はそんな気がしたのです。」


「どういうこと?」




フローラは分からず聞き返すと、男はまた話し始めた。






「今日、フランク様は王位を受け継いでアングリア王国の国民は解放された。
でもフランク様が箱の中に入っていたらフローラ様は結婚しない。王位を受け継ぐ者がいなければルドルフが国王を続けているしかなくなります。
たとえフローラ様が他の王子と結婚されてアングリア王国の人々が解放されても、フランク様の望む世界ではないでしょう?解放されてフローラ様の方を見たら、他の王子との結婚式をされているのですから。」



「おじさんはあの時、それを分かっていたの?」


「そんな気がしただけですよ。」


そう言って男はまた微笑んだ。