フローラはパーティー会場に着くと、エリックを探していた。すると、後ろから聞き覚えのある声がフローラに話しかけた。





「あのー、フローラ見てないですか?」


「エリック?」





振り返ると、案の定そこにはエリックがいた。





「えぇー!フローラだったの⁈誰かと思ったよ!」


「いやいや、気付くでしょ!」



「気付かないよ!何か別人みたい!…でも僕…」

「レディースアンドジェントルマン!
今夜のパーティーでは、素敵なゲストをお呼びしております!」




エリックが言いかけた所でパーティーが始まってしまった。



ーーエリック、さっき何て言おうとしてたんだろう…?






「そのゲストはー!何と…何と……!
アルフォンス王国のブライアン王子でございます‼︎」




司会の声に会場は盛り上がり、歓声が響き渡った。







ブライアン王子が登場すると、会場にいる女性のほぼ全員が黄色い声を出した。




「すごい人気ね…」


「本当、びっくりしちゃうよ。」







ブライアン王子は挨拶をしながらも、フローラの方にちらちらと視線を送っていた。







ブライアン王子が挨拶を終え、パーティーが始まると、ブライアン王子は真っ先にフローラの所へと出向いた。





「昼間はどうも、フローラ様。
その赤いドレス、とってもお似合いですよ。」



ーーブライオン…?王子だっけ。この人嫌味で言ってるのかしら?


気にしていたフローラにとっては、ブライアンの言葉は嫌味にしか聞こえなかった。





「ありがとうございます。えっと…ブライオン様…?」


「ブライアンです。」


「え!ごめんなさい‼︎また間違えてしまって…。あの、えっと…私はこれで!」





フローラは居た堪れなくなって逃げようとするが、ブライアン王子に手を掴まれた。





「僕と踊って頂けませんか?」

「…え?」