落とすことが目的だった。
暇つぶしが目的だった。

だけど気づけば、そんなことどうでもよくなって
傷つけてしまった自分を恨んでいた。

俺以外の人間が、玲奈の心を踏みにじったと知った時、
どうしようもないほどの怒りと嫉妬がにじみ出て
こいつの傍にいて、守ってあげたいなんて柄にも思った。


けど……



「好きなの?玲奈のこと」

「って、私に聞き返さないでよ!」



つい、間抜けみたいに、
俺が玲奈に聞いてしまった。


「いや、ちょっと待って。
 そりゃ、好きか嫌いかと言われれば、好きなほうではあるけど……」


嫌いじゃないし、
顔だって結構タイプ。

性格はやっぱり腹立つことが多いけど。

でも……


「うーん……」

「……もういいです。
 少しでも本気にした私が、バカでした」


悩みだす俺に、玲奈は「はぁ…」とため息をついて、前を歩き出した。