玲奈に黙って、美空に会いに行こうとしていること。
そもそも、別れて何年も経つと言うのに、元カノのピアスをまだ持っていたこと。
そう考えると、自分がすげぇ女々しく感じて
今までカッコつけてた自分が情けなく思えた。
言い訳をするわけじゃないけど
このピアスのことを完全に忘れていたのは事実で……。
もし美空からの連絡がなければ、どこかに引っ越しをする時まで思い出すことはなかったかもしれない。
「………ごめんな…」
静かに眠る玲奈の髪を撫でて
自分のために謝った。
次の日、朝早く目は覚めて
まだまだ静かに眠る玲奈の髪にそっと口づけた。
「りょ…た………」
小さく身じろぎしながら、俺の名を呼ぶ玲奈。
それだけで愛しさが胸いっぱいに広がって
このままめちゃくちゃにしてやりたくもなった。
だけどこのままじゃいけないから……
最後の取り残されたものを、片づけないといけないから……。
「行ってくる」
俺は玲奈を起こさないよう小さく合図をすると
一人部屋を出て行った。
あのピアスをポケットにしまいこんで……。