「ふぅ……」


シャワーの蛇口を留め、ため息が漏れた。

玲奈を抱いて、そのまま一緒に眠りについてしまってから目が覚めた夜中。
隣には静かな寝息をたてて眠る玲奈がいて、起こさないようそっとベッドから抜け出すと、一人シャワーを浴びた。


途端に感じる、罪悪感。
決して玲奈を裏切っているわけではないけど、妙に後ろめたさが残る。

タオルで髪を乾かし暗闇の部屋へ戻ると、
寝返りを打った玲奈がベッドで眠っていて……


「……」


きらりと光るピアスが、俺を呼びつけた。


棚の上に置かれたままのピアス。

そういえば、玲奈が来たというのに、すっかり忘れそのまま放置していた。

幸いにも、玲奈がこれに気づくことなく、今に至るけど……。


そっと手に取ったピアス。
小さくて、だけどしっかりとそれは主張していて……



「最低だな……俺……」



自分に向かって、自嘲した声が漏れた。