「ピアス?」
《うん……。シルバーのリーフに、パールがついてて……》
「……」
そんなこと言われたって、もう何年も会っていない美空のピアスなんて、俺が知るわけない。
まさか5年前のピアスとでも言いたいのだろうか……。
《覚えてる?お母さんの形見だって言ってたピアス……》
「……っ………あぁ」
それを言われた瞬間、
記憶が5年前に遡るように、一つのピアスが頭の中に思い浮かんできた。
(これね、小さい頃欲しくてずっとねだってたんだけど、なかなかくれなくて……。
まさかこんな形で、あたしの手元に来るなんてね……)
今にも消え入りそうな声で、俺に見せてくれた小さなピアス。
美空の母親が亡くなったのは、俺と付き合ってた頃のことだった。
俺も会ったことがある。
もう入院しているときだったけど、美空から大切な人だと紹介されて……
(責任もって、美空さんとお付き合いさせていただいています)
そう言って、色白に微笑む彼女に
深く頭を下げたんだ。