《あのね……あたしやっぱりっ……》
「言っとくけど、俺の気持ちが美空に戻るとか、それはもうないから」


相手が再び告白をする前に、釘を刺す。

べつに強がりとか、嫌味とか、そういった意味で言ったんじゃなかった。


言い方はきついかもしれないけど
これはどうやっても捻じ曲げられない事実で……。

今の俺に、玲奈以外の女を見るのは無理。


《………うん。分かってる》


先に拒まれた美空は、力をなくして頷いていた。

ツキンと痛む胸。
さすがに強く言い過ぎたかも。

だけど下手に優しくすることは、余計に相手を傷つけることだと分かってる。


《えっとね……そうじゃなくて……。
　ひとつ聞きたいことがあって電話したんだ》

「聞きたいこと？」


だけど俺の早とちりなのか……。

告白とかではなくて、何か別の理由があって電話をしてきたらしい。
だとしたら、俺はかなりの恥ずかしいやつだ。



《ピアス……持ってないかな……？》



突拍子のない質問。

全く持って、その言葉にひらめくものなんかなかった。