「もう開けてんの?」
「だって腹減ったじゃん」


なんとか平常心を取り戻して部屋に戻ると、すでにテーブルの上には買ってきた缶ビールやお菓子などが開けられていた。

確かにお腹は減っている。
仕事が終わって、直行で家に帰ってるから、ご飯も食べてないし。


「ご飯もの、買えばよかったね」
「いーよ。そんなに食べたら太る」
「女子か」


でも、ご飯食べずに塩分いっぱいのお菓子を食べるほうが太るって聞いた気が……ま、いっか。


今さら、体型を気にしている二人ではない。
細かいことは気にせず、凌太が座る座椅子式ソファーの隣に腰をかけた。


「テレビつけていい?」
「ん」


静かな部屋でいるのは耐えがたい。

普段、全然テレビを見ないくせに、自分の心臓の音が聞こえてしまうんじゃないかと思って、テレビの電源を入れた。

もちろん、今のこの時間、何が面白いのかなんて分かっているわけない。


「CMばっかだな」
「そうだね。ちょうど11時半前だし」


番組も切り替わる時間。
どこのチャンネルを回しても、コマーシャルばかりだった。



「あ……」



だけど一つのコマーシャルが流れたとき、チャンネルを変える手が止まった。