「ってか、誕生日は明日なんだから、明日会えばいいじゃん」
「分かってねぇなー、玲奈は。
 5日になったその瞬間に一緒にいたいんじゃん。誰よりも先に、玲奈をお祝いしたいの」
「……凌太ってロマンチストだよね」
「おまえなー……」
「……嘘。嬉しい。ありがとう」
「……」


いつもの憎まれ口を言ってしまってから後悔。

だけど今度は、ちゃんと訂正を入れられた。


「玲っ……」
「でも、ちゃんと規制きかせてね」
「う……」


にこりと微笑んで、凌太を見上げた。


誕生日だとか、そんなイベントに流されてたまるか。
どさくさに紛れて手を出してこようものなら、真夜中でも追い出してやる。


「俺らって付き合ってんだよな……?」

「私はそのつもりだけど」

「……はあ…」


わざとらしく吐かれたため息。

だけどそれには気づかないふりをして、私はさっさと自分のマンションへと歩みを進めて行った。