「だ、から言ってるじゃないですか!
 岬さんの、そういう軽いところが苦手だって!」

「そうだけどさー……。はあ……」


両手で自分の体を覆って、今度こそ近づけさせないようにさっきより距離をとった。

それと同時に、ホームに入ってきた電車。


「ま、いーや。今日はこのへんにしといてやる」
「……」
「んな警戒すんなよ!早く乗れ。終電なんだろ」
「……はい」


先に乗ってしまった岬さんのあとに続いて、仕方なしに乗り込む電車。

週の真ん中の終電ということもあって、人もまばらだった。



「まだまだ苦戦しそうだなー……」



空いている席に私を促し、その前に立ちながらぼやく岬さん。

まだまだ…ということは、これからもこの人のアプローチは続くということで……



「はぁ……」
「おい。ため息つくなよ」
「もう勘弁してください」
「寝るなって!」



逃れられることのない、自信家の男に好かれる私は
いったいいつになったら解放されるのだろうか……。