「……こんな私の、どこがいいんですか……」


前々から思っていた疑問を、初めて口にした。

岬さんの周りには、美人と呼ばれる人も、可愛いと呼ばれる人もたくさんいる。
私なんか、何をとっても平凡だし、なんたってノリも悪ければ、口も悪い。

一応、相手が先輩ということもあって、敬語を使っているけど。


「んー……その生意気なところ」
「は?」


まさかの返しに、間抜けな声を出して振り返った。

離れて立っていたはずの岬さんは、気づけばすぐ傍まで詰め寄っていて……



「思いきり、自分に従わせたくなる。
 俺に屈して」

「っ……」



頬を撫でられ、ぞわっと鳥肌が立った。


噛みつかれてしまいそうな……
獲物を見つけたドラキュラのように見えるその表情。


「って、鳥肌かよ!
 ここは、顔を赤くするとこじゃね?!」

「むむむ無理ですっ!触らないでっ!!」



ようやく我に返って、撫でられていた頬の指先を払った。