「はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ」
 
全力疾走した後のように息があがっている。

「大丈夫? 病院行こ。救急車呼ぶよ」

「ああ、いや大丈夫。ごほごほっ」

「お水持ってくるね」

「助かる」
 
私はキッチンに積み上げられていた段ボールを開け、コップを見つけ出し、洗い、水を入れ、夢くんの元へと戻った。

「発作? 何の病気なの?」

「ただのぜんそくだよ」
 
さっきより呼吸が整ってきた。

驚かせてごめん、と彼は笑った。

「本当に大丈夫?」

「ああ、ちょっと薬でも飲もうかな」

「そう?」 

私はびっくりしてのどが渇いてしまったので、またひとつ、ビールの缶を開けた。