あ、メガネをはずすと幼な顔になるんだ。
 
眉毛なんてハの字に下がって、かわいーの。
 
引っこしたばかりで、部屋の中はガランとしてる。
 
まだ開けていないダンボールがいくつか積んである。
 
どんなものが入っているのかな。うふふ。

「――っく。ふっ……く」
 
何やら変な音がした。
 
私はふと、ベッドの上の夢くんを見た。
 
首に手をあてがって、ひどく苦しそうだ。
 
――呼吸困難!?
 
体をエビのように丸ませて、ひどい汗!

「夢くん、夢くん!」
 
私は彼の肩を激しく振って、名を呼んだ。 

「……くぅ。あぁ……」 
 
かすかに夢くんは目を開けた。
 
そして、ゆっくりと上半身を起こした。