夢くんはパッと鏡から消えた。
 
鏡から消えた彼の残像と、私の顔もどことなく、似かよっている。
 
ビールのせいで、酔って物が二重に見えたから?

「連れ添った夫婦は似てくるって言うよね」

「連れ添った、って……私たちつい先日出会ったばかりじゃない。それに、夫婦じゃないし」
 
私は笑いながら言った。

「前世で連れ添ってたんだよ」
 
彼はそんなジョークを飛ばした。

私は起きあがり、ビールに手を伸ばした。

「飲むねぇ」

「お酒は強いんです。ビールなんてもう水」
 
私はビール3本を、もうすでに空にしていた。
 
地下鉄に乗って帰らなきゃいけないから、あまり飲みすぎないようにしないと。
 
ほんとは、ここに泊まれたらいいんだけど――でもうちのお父さん、朝帰りとかうるさそうだし。