「なに赤くなってんの。はは、かわい――」
 
そう言って彼は指で私の頬をつつく。

「からかわないでー」
 
押し寄ってくる夢くんの重みに耐えられず、左腕がカクンと曲がり、ヒジが床につく形になった。
 
そして、私の頬と夢くんの頬がぶつかった。
 
倒れこんだ丁度そこに立見鏡があって、私と夢くんの顔が映しだされた。
 
――あ、あれっ。
 
その鏡に映った姿が気になった。
 
栗色の髪、小顔、鼻のつくり、小さめの口唇、
 
私と夢くん、似てる――?
 
確か、帆乃香や想太にも言われたことだ。

「似ている」

「――」

「私と夢くん、どこか似てない?」

「――……ごめん、倒しちゃって」