「うん」

そして、次の日。

私の風邪の症状も良くなって、鼻声が若干残るぐらいまで回復した。

約束の午後7時すぎに、彼のアパートのピンポンを鳴らした。

キャンパスから徒歩10分くらいのところだ。

「いらっしゃい」

ドアがガチャリと開き、夢くんは笑顔で迎えてくれた。

「お邪魔します」

「どうぞ。――まだ散らかっているけど」

そうは言っても、荷物は少ない印象をうけた。

玄関においてある靴は2足だけだったし。

部屋には、テレビと、ベッドと、少しの本と。

ま、実家が近いもんね。そんなに荷物はいらないか。

「お酒、買ってきたよ」

私はスーパーの袋を持ち上げて見せた。
 
近所のスーパーで買ってきたものだ。