「はぁ、はぁ、はぁ、ちょっと、休ませて下さい」

「病院は――」

「大丈夫です。はぁ、はぁ、くっそ、悔しい――」

「悔しい、って? なに言ってんの。そんな体で」

「日に日に……体力が落ちて、きてる……」

「もうやめなさい。次、そんな状態で来たら即刻病院送りにするわよ、渡海くん」



と、渡海? 渡海って、夢くん?

そんな名字って、中々ないはず。

彼は私の隣のベッドに、倒れるように体を落とした。

夢くんなの?

仕切られたカーテンの向こう。

ひどく呼吸が乱れた様子。

だ、大丈夫なの?

ぜんそくの発作か、何か?

その聞こえてくる呼吸が、ひどく苦しそうだったので。

私は、声をかけられずにいた。

ねえ、夢くんなの?