そこで、私の名を呼ぶ声がした。
 
見れば、想太だった。
 
イラついたように立ち尽くしていた。
 
私のあたまには、夢くんの手が置かれている状態で、まるでいちゃつきを見せているようだったからかもしれない。
 
夢くんは、想太の登場で、ぱっと手を離した。

「……座って」
 
私が促すと、想太はリュックを乱暴に机の上に置き、従った。

「初めまして。渡海夢太です」
 
驚いたことに、夢くんの方から切り出した。

「……倉町想太です」
 
想太は脚を組んだ。

「あの、想太。このひとが、私の好きなひと」

「……」
 
想太はちらり、と夢くんを見た。
 
そして、視線を落として、大きなため息。