「……うん」
 
真剣な表情で、夢くんは応えてくれる。

「あのね、そのあたらしく好きになったヤツを連れてきて、納得ができたら別れてやるって……言われてたの」

「そうなんだ」

「ごめんね。今まで黙ってて。これって二股になるのかな」

「いや、事情が事情だから」
 
夢くんは、お茶碗を静かにテーブルに置いた。

「それでね、これから来るの、そのひと。想太っていうんだけど」

「解った」

「……怒ってる?」

「何を怒る必要があるの?」
 
そう言って、夢くんは私のあたまを撫でてくれる。
 
胸がきゅん、ってなる。
 
優しい王子様。

「……梨聖」