「そう、いいね。ラーメン」

「夢くんは、食べた?」

「うん。おにぎり」

「おにぎりだけで、足りるの?」
 
ただでさえ、痩せぎすだ。
 
喉仏なんかも、ごつごつしている。

「俺、あんまり食べなくても大丈夫なんだよね」

「栄養はしっかり摂らないと」

「そうだね……立ち話もなんだから、行こうか」
 
そう言って彼は、学食の中へと先だった。
 
お昼の混雑は解消されていて、広いホールの中、学生はまばらだった。
 
学食の真ん中に置かれているテレビの音が聞こえるほど。
 
また、芸能人の離婚話のワイドショーをやっていた。
 
離婚するくらいなら、結婚しなきゃいいのに……なんて。
 
今から、想太と訣別する私が思うことじゃないよね。
 
私たちは、ひとのいない、学食の端っこの長机に腰を下ろした。