「ありゃま」

『梨聖、産業経済学の講義とってるだろ。俺、寝過ごして行けなかったから、ノート頼む』
 
想太、この講義とってたのか……初めて知ったよ。
 
いつも夜勤明けでこれなかったんだな。
 
だけど、テストが近いわけでもないのに、ノート貸してくれって、私に会うための口実に過ぎないんじゃないかと思った。

『今度ね』
 
私はその短文を送った。
 
ややあって、レスポンスがあった。

『今日会えないか』
 
やっぱり、私に会うためだ。

『会えない』
 
冷たいかな、と思ったけれど、ここで甘い顔をしていたら、いつまでも別れることなんてできない。

「冷酷ね~」