「何、嫌いだった?」

「いや、食べたことない」

「私もないの。だから、ちょっと分けてね。あっ、店員さ~ん」

帆乃香がどんどん事を進める。

そういう彼女の性格、嫌いじゃないけど苦笑してしまう。

店員さんが帆乃香の声でやってきて、オーダーをとりにきた。

「チョコバナナのやつと、苺と、塩キャラメル。お願いしま~す」

「かしこまりました。少々お待ちくださいませ」

店内はがやがやとしていた。 

白を基調としたお店で、椅子もテーブルも壁も全部白。

テーブルはざっと見、10個あって、カウンターの席も全部埋まっちゃっていた。

人気店なんだな、と私は思った。

「今度、ここに、智哉と一緒に来ようかな」

と、鈴。

「トモヤ? あんたの彼氏、大輔くんじゃなくて?」

「大輔とは別れた。今は、智哉」