やる気がないのは、生徒も教授も同じってことだろうか。
 
だから、気兼ねなく恋バナを相談できる。

「なに、面倒なことって」
 
帆乃香がシャープペンを、鼻の下にあてて、アヒル口で返してくる。

「その、好きなヤツを連れて来いって。納得したら別れてやるって、想太が」
 
私はため息交じりに言った。

「あらら。そこまで執着してたの、想太くん」

「なんかそうみたい。自然消滅するんじゃないかって思ってたのに、想太はそんなこと微塵も思ってなかったって」

「その時点ですれ違ってるんじゃん。元々、アンタたち合わなかったのよ」
 
帆乃香は私が思っていた事をすんなりと口に出す。

「そうよね~」
 
私は机に突っ伏した。
 
夢くんを想太に会わせたら、どんな態度をとるんだろう。
 
殴りかかる――? いや、想太はそんなことはしない。
 
諦めてくれる――? 頑固な想太は受け入れてくれるとは思わない。