「渡海さんは、兄弟いるんですか?」

私がそう尋ねると、彼はうん、とうなずきコーヒーをひとくち、こくんと飲みくだした。

「いるよ。妹がひとり」

「妹さん……渡海さん、顔整ってるから、妹さんも可愛いんでしょうね」

すると彼はにこっと笑みを見せると、

「可愛いよ」

と顔をほころばせて言った。

「やぁだ、渡海さんて実はシスコン?」

そう言うと、彼は口の端をキュッと上げ、「そうかもな」と笑った。

その表情に、私の胸は痛んだ。

渡海さんに可愛がられている妹さん――。

うらやましい。

同じ食卓を囲んで、笑い合って。

おフロあがりの渡海さんも、寝起きの渡海さんの顔も、毎日見ていられるんだなー。

うらやましい……。